猪とそば


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ソバの生産者に伺うと、近年の猪による被害は相当なものであると聞いています。新芽が生えたときに食い荒らすケース、ソバ畑で遊びまわりソバが倒伏してしまったり、花の蜜に誘われて、葉を食べ実が出来ないケースなどがあるそうです。ひどいケースとして、収穫直前に食い荒らされ、全滅してしまい、虚脱感に苛まれたかたもたくさんいらっしゃいます。里山の環境が変化し、猪が下りてきています。一度味を占めたらまた来ることでしょう。猪対策は急務で不可欠となってきました。
この現象は全国的に及んでいて、中国地方は特にひどい被害を被った地域が多く存在しています。昨季は天候不順もありただでさえ生育が悪かったのに、最後にこんな仕打ちをうけるとは。収穫し美味しいそばを食べることを楽しみにしていたのに残念でならない生産者が来季にむけた意欲を持っていただけるかどうか心配しています。
そんな中で、この天敵ともいえる猪の肉を種物に入れてみようという試みがあります。猪肉は豚肉よりも味わいが濃く、旨みがあります。部位によっては固いところもありますが煮込むことで柔らかくなり、血抜き処理を上手にすれば臭みはありません。鴨南蛮のような特有の香り、旨みではありませんが、この試みは猪と共存していく上で面白いことだと思います。

そばの甘み

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今冬は、年明けから雪に悩まされ寒い日が続きました。
人の動きが鈍く、概してそば店も暇だったようです。
しかし、そばにとってはこの寒い季節、節分の頃が最も味深くなり、
そばの艶も出てくる最高の時期です。
そしてなんといっても甘みが増してきました。
「寒晒しそば」といって、川の冷水につけてあくを抜いてから寒風に晒し、そばの甘みを増す食べ方があるのも頷ける話です。もともとはそばの種として保存するために生まれた方法です。出雲地方ではあまり聞きませんが、天然の寒気で保存している玄蕎麦は旨みが増してきました。
土壌に養分が少なく、寒暖の差が大きく厳しい環境下で育つ山間地のソバは、自ら糖分を蓄えるため、甘みが強いのでしょうか。私は辛党で甘いお菓子は苦手ですが、野菜、日本酒やそば等の自然界から育まれた作物の甘みには、堪らない魅力を感じています。
最近のそばは噛んでいくうちに、口の中に清純な甘みが広がってきて、
爽やかな気分に浸らせてくれます。
丸抜きのほうが甘みを強く感じやすいでしょう。
挽きぐるみの出雲そばでもやや浅挽きのそばは雑味が少なくよりダイレクトに甘みが出てきます。
だしは辛めのだしのほうがそば自体の甘みをより強く感じ取れることでしょう。
寒い季節ですが、冷水でしめたそばを手繰り、噛みしめて「そばの甘み」を楽しんでください。



最近特に甘みを強く感じた割子そば(大社の某店)縺九・繧・蜑イ蟄・_convert_20110208172809

2011島根ふるさとフェア in広島

たくさんの人で賑わいました。20110123B_CIMG5345.jpg


1/22、23の2日間 広島県立総合体育館周辺で開催され、約17万人のお客様で賑わいました。私は、出雲部屋台村でそば店の手伝いをしました。島根の文化や特産品を紹介する県外でのイベントの中でも最も大きなイベントでしょう。 手打ちのそば店は、松江八束、隠岐、雲南、益田方面よりたくさんのお店が並びました。中でも「玄丹そば」チームは、松江そば組合の大将が5人も集まり圧巻でした。お店を閉めてまで参加されていたので気合いの入れようが違います。各お店のメニューは屋外ということもあって温かいそばがほとんどでした。出雲そば特有の「釜揚げそば」が一番人気となりました。茹でたそばと釜湯を器にいれるのですが、だしもあらかじめ器にいれてお出ししていました。屋台は効率よく作らないと行列をしてまで食べていただくお客様を待たせることになりがちです。初めての参加でいろいろ反省点がありましたが、出店での営業にはコツがあることが解りました。準備と片付けが大変ですが、たくさんのお客様に味わっていただき、喜んでもらえれば、店舗での営業とは違う充実感、達成感が味わえます。
 そば好きなかたは、そばの食べ歩きをしておられたかも知れませんが、他にもおいしそうな匂いのする特産品を作っているお店がひしめき合っていたので、そばだけでお腹を一杯にする人は稀だったことでしょう。
 島根の味を堪能していただき、広島の人が、島根を訪れたい気持ちになっていただけたなら汗を掻いた甲斐があります。本場島根に来て、出雲の風土とともに出雲そばを味わってください。


「玄丹そば」松江
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「隠岐そば」2011島根ふるさとまつり 003
「高津川源流そば」2011島根ふるさとまつり 007
「日原わさびそば」2011島根ふるさとまつり 009
「出雲釜揚げそば」20110123A_CIMG5340.jpg

今シーズンのそば

今季のそばの出来は?蟷ウ蜥梧怦隕九◎縺ー+003_convert_20110105160427

昨秋のソバは、天候不順やイノシシによる被害が影響し収量が少なかったようです。県内の松江・出雲地方も減収で、特に三瓶方面は全滅のところもありました。唯一、奥出雲地方は豊作の地区がありました。そのため玄蕎麦の単価が上がっています。
地元産の玄蕎麦の確保が困難となり、自家栽培、自家製粉による手打ちそばを売りにしていたお店の中には他の産地のソバを購入し営業をしなければいけなくなった処もあります。しかし、時には違う産地のソバを試してみると学ぶことが多いことに気付きます。私は全国各地から様々なそば粉を入手して試してみて解ったことですが、産地の違いよりも、ソバの品種と製粉の仕方が大きくそばの風味、食感を左右すると理解しています。
そばの産地よりも、製粉方法、そばうち技術によりお店のそばの味が決まります。長年培ってきたお店の「そば」となるよう努力が必要です。また、違う産地のソバをブレンドして、納得のいくそばに仕上げることもあります。
玄蕎麦の管理、製粉技術の向上により、より滋味な「出雲そば」に発展していくことを望んでいます。
今シーズンは奮い立つぐらい香りのあるそばに出会っていません。全般に、やや香りが弱い気がしています。天候不順が影響しているのかも知れません。
しかし、寒くなってきた今頃は味がのってきて艶も出ています。そばを食べるには今が旬です。みなさんも年越しそばで終わることなく、新年を迎えおせちに飽きたら、幾度も豪快に出雲そばを食べましょう。

古民家でのそばうち教室

年越しそばは自分で手打ちをしましょう。蜿、豌大ョカ+001_convert_20101224104126
「出雲そばりえの会」が出雲市内の「田舎ツーリズムの宿 古志古民家塾」にて
そば打ち教室を開催しました。
そば好きな人でも、なかなか自分で打ってみるということは意外と億劫なものです。
今回は松江市内の自家製粉されているお店から特上のそば粉をもらいそば打ちをしました。
そばりえの仲間のマンツーマンでの指導もあって、見事なそばに仕上がりました。
試食では、古民家にガスがないためかまどで薪を炊いてそばを茹でました。これがホントの釜揚げそばです。
おそば屋でもおなじそば粉でそば打ちしているのですが、食べくらべると全く異なるそばとなりました。水とそば粉だけのシンプルな素材なのに。そばの奥深さを味わっていただきました。
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初心者にしてはとても上手いそばきりです。蜿、豌大ョカ+004_convert_20101224104242
この独身男性、そば打ちで男をあげて彼女を作るということらしいです。蜿、豌大ョカ+003_convert_20101224104215

きのこそば

初冬の楽しみ きのこそば
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新そばの季節が到来し寒さが増すにつれ、そばの味、香りも深まってきたように感じます。
季節の味として、新そばときのこの限定メニューに出会いました。
しめじを焼き、春菊を散らしたかけそばです。
焼いたしめじにだしが浸みて美味さが引き立ちます。
きのこ類は焼くと水分が抜けて、驚くほど味が深くなります。
焼きしめじの味わいを楽しみながら、春菊がさわやかさを醸し出します。春菊の香りにそばが負けると思っていましたが、決して邪魔していません。秋の深まりを感じさせる品です。
このお店は丸抜きと碾きぐるみの二種類そばを打っておられます。かけそばには丸抜きを使いだしとの相性を優先させています。
かけそばを食べたあと、冷たいそばも追加注文しました。
碾きぐるみの出雲そばと丸抜きの割子そば。
なんと、丸抜きの割子そばはかけそばの太さと違い、細打ちでした。冷たいそばは食感も楽しんでもらおうという嗜好です。たしかにかけそばに細打ちのそばを入れると、そばの味が薄くなるし、切れやすくなることでしょう。
このこだわりが心憎く、またこのお店を訪れたくなる気にさせてくれます。


   碾きぐるみのそば  と  丸抜きのそばふなつ2010.11.17 006

もちろんそば前を楽しみました。ふなつ2010.11.17 002

2010出雲そばまつりを終えて

10/30(土)、31(日)の2日間 出雲そばまつりが出雲市役所だんだん広場にて開催されました。
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今年は出雲文化伝承館から会場が変更となりました。そば店の出店数は20店舗。
県外13店舗 県内7店舗(出雲市内2店舗)

たくさんのお客さんで賑わったのですが、日曜日には雨が降った影響もあり、
少し盛り上がりに欠けたように感じました。
その理由は、
1.会場が広く、芝の広場であり、市役所の裏側で、そばまつりという風情、一体感に欠けた。
2.そば店と土産物店の出店だけて、他の催しものがほとんど無かった。
3.観光バスのお客様は、別のブースでそばをたらふく食べ、他のそば店に行けなかったため、
  県内のそば店(特に市内)のお客が少なく、「出雲そば」をアピールするには物足りない企画であった。
4.会場が市内中心部であり、自家用車での来場者が多く、国道9号が渋滞し、不満が寄せられた。
5.今年の新そばはどこの地方も味、香りが浅く、満足するそばが少なかった。
来年度また開催されるなら、原点に返り、そばの振興と観光をあわせ持つ企画にする必要があると感じました。

出雲そばりえの会としては、そばりえクイズとして、そばのメニュー写真から、どこのお店のそばであるか
をあててもらいました。出雲そば商組合と三瓶のそば店から抽出しました。
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北海道からこられたお店のそばを紹介します。
にしん蕎麦
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ざる蕎麦
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最後に出雲地元産新そば
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粋に呑まNight!大盛況でした

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日本酒×そば×ジャズ で楽しむ “ 粋に呑まNight! ” というイベントを企画しないかと出雲そばりえの会に話が持ちかけられ、実行委員会を作り8月から準備を進めていました。
そして、松江水燈路の最後を飾る10/17(日) カラコロ工房にて開催され、予想をはるかに超えた人出で賑わいました。
PM4:00〜9:00までで約1000人の来場があったようです。
出雲そばりえの会が提供したのは約600食でしたから、食べられなかったお客様がいた筈です。
開店からいきなり行列で追われてしまいました。
当日は朝からスティックビルの調理室で 40玉を8人程度で打ちまくりました。
12時からたまたまどう行列のために全面通行止めとなるため、あわてて出来たそばを積み込みカラコロ工房へと向かいました。しかし、タッチの差で、通行止めとなり、仕方なく大回りして、武道館の横に駐車し、歩いて道具等を持ち運ぶはめになりました。
いろいろ段取りでトラブルがありました。準備不足も否めません。
鬼おろしそばとそば味噌のセットと追加メニューの釜揚げの両方同時に作ることは困難でした。
行列で待ち時間が長くなってしまいましたのでセットメニューだけにし、売切れたら釜揚げのみのメニューとしました。
しかし、出雲全国そばまつりでも凄く行列しているではありませんか。
ましてや 私たちは素人集団ですから大目に見てほしいものです。
なんとか無事に終わることができました。感謝、感謝です。
お客様の声として、そばやそば味噌は美味かったといっていただけたのが救いです。
疲れが未だに残っていますが、来年にむけての案、意欲が湧いてきました。「出雲そばりえの会」として今後も恥じない企画作りを目指します。

会場の様子

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出雲そばりえコーナーの行列
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鬼おろしそば+そば味噌セット
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粋に呑まNight

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出雲そばりえの会が松江の3蔵元と共同でイベントを行います。
そばと日本酒の相性の良さを味わってください。
前売り券:3蔵の日本酒1杯づつと出雲そば(割子そばとそば味噌のセット)で1000円
当日券もあります。
釜揚げそばも準備します。(当日券で食べることができます。1杯300円)
松江水燈路まつりの最終日を飾るイベントです。
是非、来場ください。

大根とそば

お盆を過ぎたというのに酷暑が続いています。
夏バテで内臓の働きが弱っているかたがいらっしゃると思います。
「おろしそば」はそんなかたにうってつけです。ビタミンCたっぷりの大根は、消化の働きを助け、栄養的にもそばと合わせればバランス良い食べ物として高評価されています。
食欲のないときには、さらっと食べやすいおろしそばで暑さをのり切りましょう。


大根とそばの変わり種


「鬼おろしそば」
鬼おろしという竹製の器具でおろした大根おろしをのせたそば。鬼おろしは余分な水気が出ず、粗く仕上がるためシャキシャキ感が楽しめる。
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「大根そば」
大根をせん切りにし、そばに添えたもの。混ぜて食べると食感が心地よく、大根の辛み、甘みとそばとの相性が良い。
岩手では「ひきなそば」 栃木上州では「大根そば」と呼ばれ伝統がある。出雲のお店で新メニューとして登場した。
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松本蕎麦店

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今年の4月に「伝説のそばや」と呼ばれていた「松本蕎麦店」が松江スティックビル1階にオープンしました。
NHK連続テレビ小説「だんだん」の舞台セットを復元して松江市が整備したそば店です。10年前まで寺町にあった老舗「松本蕎麦店」で修業したそば店経営者が、のれんを引き継ぎ、営業されています。開店当時は大変混み合っていましたが、現在は落ち着いているようです。
 昔のお店の常連客は、お店の名前の復活を喜んでおられるようです。
しかし、このお店は、テレビ小説の舞台セットで作られているもので、決して老舗「松本蕎麦店」の様子を再現したものではありません。あくまでドラマの中の松本蕎麦店なのです。実際にそばを食べてみましたが、あの老舗の味をもう一度味わいたいと思って来店されたお客さんはがっかりされたことでしょう。老舗の味の復元というわけでもありません。
 NHKドラマのブームは一過性であり、ブームが過ぎると観光目的のこの企画自体も古臭くなってしまいます。今後はお店の独自性を強めることが必要です。名前におんぶしないで、地元の客、また観光客も「此処のそばがまた食べたい。」という思いが募るそばを提供していくことが大切ではないでしょうか。

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老舗の改築

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大社の島根県立古代出雲歴史博物館前の老舗そば店が、昨年末に家屋老朽化のため取り壊し新築となり、5月初旬から営業を再開されています。
以前と店内の配置はあまり変わりませんが、席数が減りました。また、窓が大きく白い壁を基調として明るい店内となりました。
私は15年以上前からなじみの客として通っています。
平成19年3月に出雲歴史博物館が開館してから、週末はたくさんの観光客で混み合うようになりました。このお店は混雑するゴールデンウイークや、正月にはメニューを限定し、多くのお客様に待たせないで美味しいそばをたべてもらえる工夫をされています。
観光客で混雑すると馴染みのお客さんは遠のいてしまいがちとなります。
私は平日の空いているときに食べに行っています。
お客さんの回転を速くしようとするとそばの品質にも影響がでることが多々ある筈です。お店の立地条件が良すぎるのは良し悪しです。
しかし、たくさんの県外からのお客さんに出雲そばを食べて満足してもらえるお店も必要です。観光客の方に「出雲そば、美味しかった。」と言ってもらえれば、出雲の観光振興につながります。常連客に好まれると同時にいちげんさんの観光客にも喜んでもらえるお店とすることはかなり難しいと考えます。
行列して待ちくたびれてから食べるそばは旨いでしょうか?出雲そばは六感で楽しむことを常とすれば、讃岐うどんやラーメン店の行列は許せても、出雲そば店には似合いません。
大社に存在するたくさんのそば店が高水準で肩を並べ、どのお店に行っても遜色ないサービスと出雲そばの味を常に提供できれば、お客様が集中して迷惑がかかることのないそば街道となることでしょう。

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新メニュー 「大根そば」
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出雲そばの香り

出雲そばの香り
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そば打ちを経験された人は、水回しのときに「そばの香り」を嗅ぎ、その香りの強さに驚かれたことがある筈です。丸抜きしたそば粉と碾きぐるみ(出雲そば)のそば粉では水回ししたときの香りが異なります。丸抜きは甘くふわっとした優しい香りが漂ってくるのに対し、碾きぐるみはパンチのある野趣味の強い香りを感じとることができます。
 捏ねて、茹でて、さらにそばを洗う工程で香りが消失してしまいますが、ほのかにでも口に運んだときに感じる香りに期待感が高まります。
香りには、直接鼻で嗅ぐ香り(スメル)と噛んで鼻腔から抜ける香り(フレーバー)があります。釜揚げそばはスメルを味わうことができますが、冷たく締めたそばはフレーバーな香りが楽しみとなります。出雲そばは他の地方より、スメルな香りも強く感じることができます。最近、そばのコシが立つほうが好まれるのか、氷水でそばを締めるお店が増えています。しかし、あまり締めすぎると、味も香りもそばの中に閉じこもってしまいます。昔からのそば好きな高齢者のかたで、以前はもっと香りが強いものだったとよく言われます。製粉の仕方で異なりますが、在来品種のそばは今でも香り高いそばに仕上がります。しかし、収量が少なくなっていますので、強烈な香りとの出会いが少なくなりました。
 そばの甘い香りを感じ、心を癒やしてくれる「出雲そば」は、他の麺類では味わうことができない感動を与えてくれる魅力を秘めています。

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出雲そばの品種検討会

新しい出雲そばの品種が生まれます
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県内ソバの生産を増やすことと、「出雲そば」のオリジナル品種を育成し、ブランド化を図ることを目的として、島根県が研究開発を進めています。
 今回、有望品種の検討会及び試食会が開催され、私も参加しました。
 出系3(牡丹そば×横田)という品種と出系4(横田4倍体)の2種類の品種が披露されました。

 出系3:北海道でかつて主流だった「牡丹」と横田在来種(小そば)を交配して改良したもの。小粒。

 出系4:横田在来をコルヒチン処理して染色体を倍加。4倍体の特徴として、茎が大きく強く、脱粒しにくい。大粒。

 昨年は天候不順で、試験栽培したソバは収量が僅かでした。安定した収穫量を望んでいる農家にとって、ソバの栽培はリスクが大きいものだといえます。
出系4については、粒が大きいのですが、殻の中に空洞があり、製粉したときの歩留まりが悪いとの結果がでました。
 味のほうは、標準とされている信濃と比べても、遜色ない香り、味の深み、甘みがあり、収量が安定する見込みのある、「出系3」の品種登録を進める方向だという説明を受けました。
私の率直な感想は、信濃が最も風味があり余韻が残る気がしました。今回は碾きぐるみではなく、殻をとってから碾いたものであったため、碾きぐるみとしたときには味や香りがどうのように変化するのか楽しみとなりました。

   左から信濃1号      出系3        出系4
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殻を除いてから碾いたそば粉
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そばの試食

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tag : そば

六感で食す


六感とは?
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有名店で生そばを購入し、我が家で茹でて食べる。
しかし、お店で食べたそばと明らかに異なるそばになります。
何故、お店で食べたそばのほうが美味いのでしょうか。
それは、茹で方や、そばを打ってからの時間の経過に原因があるのはもちろんことですが、
お店で食べたそばとの違いで解決できない理由があります。
それは、「六感で食す。」ことからくる違いだと考えます。
「六感」とは、人間の五感「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」に、心の安らぎを加えた、心地よさに例えられています。自然との調和、日常のわずらわしさから解放される「風土」を感じさせる空間、場所が重要だと考えます。
また、老舗のたたずまいは気持ちをリフレッシュさせてくれます。五感で味わう他にこの要素があると、印象に残りまた訪れたいという気にさせてくれるものです。新しいお店でも、いかにお客様を和ませるお店にするかに配慮すれば、「六感」が働きます。接客の仕方も重要な要素でしょう。
幸い、出雲地方のそば店は、六感で食すことができるお店がたくさん在ります。こころの安らぎを求め、田舎のそば店へ向かい、そばを食べる。出雲そばはそんな気持ちにさせてくれます。それは贅沢な志向であるのかも知れません。

【近年開店した趣のあるそば屋】
三瓶山近くのそば屋
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宍道湖西岸から斐川平野が一望できるそば屋

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切れるそばほど旨いそば

そば打ち初心者のかたを激励します
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私が、そば打ちの講師をするときにお話することがあります。
「切れるそばほど旨いそば」
これは、ぼそぼそして粘りがなく、粗いそば粉で捏ねたそばは、切れやすく茹でたらバラバラになったりしますが、味や香りは強く、うまみのあるそばに仕上がるという意味です。粗く、乾燥しすぎたそば粉はつながりにくいため、そば打ちでは大変苦労します。含水率も50%以上必要とし、ていねいな水回しが必要となります。
田舎のおばあさんが作るそばで、やや太めで短いそばですが、噛んで食べると香りが立って味わい深いそばとなり、そばの醍醐味を満喫することができることがあります。
粗いそば粉は、そば打ちでは特に気を使います。粗いということは、ソバの実が破砕される部分が少なく、玄ソバの本質をより味わえるということになります。
また、短いそばはよく噛んで食べることになるため、必然とそばの風味をより味わうことができます。
噛んで穀物としてのソバを感じることができるのです。切れたそばはかき込むように食べると、口の中一杯にそばの香り、味が広がってきます。
粋な食べ方は出来ませんが、田舎そばとして食すなら、こんなそばも御一興でしょう。
そば打ちの基本は、いかに均一な長いそばに仕上げるかがそば打ちの技術目標ですから、
短く切れたそばは手打ちそばの恥だと言われています。
そばうち初心者の打ったそばは、良質の細かなそば粉でも短くバラバラとなりがちです。
しかし、決して悲観する必要はありません。
「切れるそばほど旨いそば」と説明(弁解?)し、皆さんに堂々と味わってもらいましょう。



そば切りの太さ

出雲そばの最適な太さは?
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江戸時代の後期に、江戸のそば職人によってそばの切り巾について基準が設けられ、「切りべら23本」といって、一寸(約3.03cm)を23本(約1.3mm)に切ることが標準とされました。「切りべら」というのは「切平」と書くように延した厚さ(通常1.5mm)よりも切り巾を薄くするものです。包丁で切った面の面積が多いほど茹でたときにしっかりしたそばに仕上がるからでしょう。それに対して「のしべら(延平)」というのは延し厚より切り巾のほうが広いそばを指し、出雲そばを代表とする田舎そばにはこの形が多く見受けられます。

 出雲地方のそば店では各店で異なった太さであり、そばの断面形状はそれぞれ特徴がありますが、切りべら23本という細さでそばを打つお店は少ないようです。その理由はいくつかあります。

・ 昔からやや太めのそばを噛んで食べる習慣があった。

・ 割子そばのようにだしを直接かけて食べるので、ざるのようにそばをたぐって啜る必要がなく、太くても食べつらいことはない。

・ 釜揚げそばはそばが切れやすいため、太めのそばでかき込むように食べるほうが香りや旨みをより楽しめる。

・ そばの製粉がひきぐるみのため、粗い粉(昔は製粉がやや雑であった)であり薄く延ばしにくい。また、そば打ちの技術が江戸と違い高レベルではなかった。

江戸のそば打ち技術や製粉技術と比べると、出雲地方は技術的には劣っていたのかも知れません。しかし、ひきぐるみの出雲そばは上手い(うまい)そばではなく、美味い(うまい)そばを目指してきたのではと考えます。
少々食感が悪くても、噛んだときの香りや味深さが秀でているそばが出雲そばとして評価されてきたのです。
 よく、「喉こしが良いそば」という言い方で江戸前そばが語られますが、本来、そばは噛んで食べるものですからビール等とは異なるため、この表現はいかがなものかと思います。おそらく、つるっと食べやすく、食感の良いそばの事を指しているのでしょう。
老舗の出雲そば店でも、近年のブームなのかこの食べやすいそばに変化し、細打ちするお店が増えてきました。時代のニーズに合わせそば屋も変化していかなければならないのですが、少々寂しい気がしています。
特に細打ちした「釜揚げそば」は出雲そばの醍醐味が薄れてしまっている気がします。
そば粉の粒度にもよりますが、2.5mm〜3.0mm前後の太さが昔からの出雲そばではなかったかと判断しています。そば切りの断面は正方形が理想かもしれませんが、のしべら形状の出雲そばは田舎出雲の風土を感じさせる何ともいえない懐かしい味わいがあります。

切り巾 約3.0mm 厚さ 約1.5mm
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切り巾 約 3.0mm 厚さ 約2.5mm

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国産ソバのピンチです

ソバは凶作となりました
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新そばの季節ではありますが、今年は全国的な凶作です。主な原因は種まきの時期に長雨だったこと。ソバは水にとても弱く、長雨の前に播いたソバは直後に雨で流されたり、腐ったりしました。長雨の後に播いたソバは実りが悪く、日照不足も重なって事態は悪化してしまいました。主産地の北海道や長野では収穫量が例年の半分以下となっている地域があるようです。玄ソバの仕入れ価格は例年の1.5倍ほどにあがっていて、そば店は値上げするか、外国産のそば粉をブレンドするか、悩み多き年となりました。
 出雲地方は、松江の玄丹そばが3割減、奥出雲も去年より減量となっているようです。幸い出雲産は去年並の収量があったようで、他の地域から回してもらえないかという問い合わせが寄せられています。
 また、気がかりなことが一つあります。農林水産省が農業者戸別所得補償制度と一体で打ち出した「水田利活用自給力向上事業」において、交付金がコメ優遇となることです。減反で水田から転作してソバ畑としたところに自治体や農協が柔軟に交付金をあてていたのですが、制度改定で作物別に全国一律となると、ソバは10アールあたり2万円で、飼料用・米粉用などのコメにでる8万円と大きな差が出来てしまいます。これまで不作続きで収入が減った生産農家は、コメに切り替えることが予想されます。もしこのコメ優遇の制度が始まれば、国内のソバ総生産量はますます少なくなっていきます。
 そば喰いにとっては厳しい話題ですが、そばに関係する皆さんの知恵と技術で、なんとか美味いそばを通年食べさせていただけるよう切に望んでいます。外国産の良質なソバも存在しますので、上手く配合し適正な価格でお客様に食べてもらうことも必要だと思います。
気候によるソバの性質や収量の変化から、ソバと自然との関わりがとても大きいことが解ります。自然の恵みをありがたく思い、悪い年はそれなりに楽しんで、また来年に期待する寛容な心をもつことも大切でしょう。



紅そばまつり

華麗な赤い花が咲いていました
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10月25日に吉賀町真田地区で開催された「紅そばまつり」に行ってきました。
昨年 出雲全国そばまつりで講演された信州大学の氏原暉男名誉教授から、紅そばを吉賀町で栽培しているという話を伺い、今年は見に行こうと決めていました。
2〜3ヘクタールの田が、赤い花のじゅうたんで覆われていました。この日は冷え込んでいたため、よけいに花の色が鮮やかさを増していた気がします。近くで見ると、露を付けた花びらが、太陽の光で輝きを放っていました。
 紅そばは氏原先生がヒマラヤで紅い花のそばに出会ってから、長年研究を重ね、日本の風土に合うよう品種改良して「高嶺ルビー」という名称で品種登録されたものです。ですから「高嶺ルビー」は高冷地で栽培するのに適していて、「赤そばの里 信州箕輪町」等が有名な栽培地です。
 紅そばの花は一ヵ月程度と白いソバより長い期間花を観賞できます。白いソバは独特のアンモニア臭を出して虫を引き寄せますが、紅そばはあまり匂いませんでした。華やかな色で人も虫も引き寄せられるのでしょうか。
 白い花のソバは清楚な美しさがあるのに対して、紅そばの花はやはり華麗という言葉が似合いそうです。まさに、高嶺のルビー色です。
 「紅そばまつり」では、そばや和牛の丸焼き鮎の塩焼き、農産物などが販売されていました。 昨年採れた紅そばと日本在来種の新そばの食べ比べができましたが、一年前の紅そばは風味が弱かったのが残念です。咲いていた花が実になり高嶺ルビーの新そばとなる日を楽しみに待つことにします。
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手打ちそば
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  紅そばと新そば(在来種)
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2009出雲全国そばまつり

出雲そばりえの会が参加します
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今年も近づいてきました。10/30(金)、10/31(土)、11/1(日)
2009出雲全国そばまつり イベントとしまして、「出雲そばりえの会」主催により下記のイベントを計画しています。

「利きそばに挑戦!」 

場 所:出雲文化伝承館 ステージイベント広場にて

予定日時: 10月31日(土) 15:00〜
        11月 1日(日) 14:00〜  (それぞれ30分程度)

内 容:当日、お客様から参加者を募集して、出雲そば商組合加盟店のそばを試食していただき、お店を当ててもらいます。参加者、正解者には景品を贈呈。お店は5店舗の予定。協力店は、そばりえがイベント内で紹介します。
    我こそはと思われる方は是非参加してください。

また、出雲そばりえのコーナーを設け、そばりえ制度の紹介や、そばりえの募集を行う予定。あわせて、そばに関するクイズを配布します。
2009出雲全国そばまつりの詳細については下記をクリックしてください。2162.jpg

http://www.city.izumo.shimane.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1189572147334&SiteID=0&ParentGenre=1000000000040

晦日そば

月末、出雲のそば店へ行こう
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出雲そば商組合では、毎月月末3日間を縁起の良い晦日そばの日として、期間中に食事をされた方にもれなく割引券を進呈する企画が始まります。
晦日(みそか又はつごもり)というのは毎月の月末のことです。大晦日(12月31日)に食べる年越しそばは晦日そばの代表といえます。昔は毎月、縁起をかついで晦日そばを食べる風習があったようです。
そば好きにとってはとてもありがたい企画です。 月末には、平穏無事にその月が終わることに感謝しながら、「晦日そば」を食べましょう!
参加されているお店を紹介します。
協力店には「晦日そば」ののぼりが立っています。
  ・そば処 あごう
  ・そば処 神門
  ・さの屋
 ・そば縁
  ・献上そば羽根屋(本店・大津店・伝承館店)
  ・風月庵
  ・やびや
  ・そば処 田中屋
  ・平和そば本店
  ・八雲本店・東店
  ・鶴華波積屋

晦日そばの由来
金(きん)を伸ばすときに良くすべるようにそば粉をまいた。(金(かね)が伸びる)
金粉を集めるのにそば粉をまいて集めふるった。  (金(かね)が集まる)
ということから江戸時代中頃から商家を中心に始まったと伝えられています。
晦日そばを食べないと翌月の稼ぎが保証されないから必ず食べたそうです。
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割引券 (発行日より2ヶ月間有効)





そばの花が満開です

新そばが待ち遠しい季節です
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出雲地方ではそばの花が平野部、山間部ともに満開です。
この頃は天候に恵まれ、寒暖の差があり、そばの生育には申し分ありません。北海道、東北地方は収穫の時期になりましたが、天候不順であったため、出来が悪いようです。
出雲地方のソバはこのまま順調に稔り、10月末の出雲全国そばまつりで香り高い新そばのお披露目ができることを祈っています。

奥出雲地方
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いちめんのソバ畑(出雲平野 遠くに見えるのは出雲ドーム)
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納豆そば

夏バテには納豆そば

知らない間に秋の気配となりました。今年は未だに天候不順が続き、残暑を感じる日が少ない気がします。しかし体はバテ気味だという人は意外と多いのではないでしょうか。
夏バテには納豆が良いといわれます。ネバネバのあるものは体に良いとされ、納豆といえば健康食品の代名詞といえる存在です。その納豆とそばを一緒に味わう「納豆そば」はいかがでしょうか? 関東のそば店ではメニューに加えているお店が多くありますが、関西、出雲地方ではあまり見かけません。
しかし、出雲大社近郊に「納豆そば」を提供してくれるお店があります。私は毎年、この季節に良く食べます。納豆の匂いが嫌いな方がいらっしゃる筈です。そんな方は大根おろしと合わせた「納豆おろしそば」がお勧めです。納豆だけよりも食べやすくかつ、ビタミンCを補える最高の取り合わせです。以前テレビで、納豆おろしはダイエットに良いと紹介されていたこともあります。胃や腸にやさしく、疲労回復、滋養強壮、免疫力もアップし、活性酸素の働きを抑え体の老化やガンを予防し、肌や皮膚を若々しく保つなど、健康効果をあげるときりがありません。
「納豆おろしそば」で夏バテを克服しましょう。

〜納豆そばの紹介〜
「納豆おろしそば」
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だしをかけてかき混ぜて食べると旨い。

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納豆+おろし+卵入り
このお店は「納豆そば」におろしと卵の黄身が入っている


そばの色

出雲そばは黒い?
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出雲そばは「黒い」と良く表現されますが、本当に黒いのでしょうか?
ソバの実は「殻(外皮)」「甘皮」「胚乳」「胚芽」に区別されます。じつは黒いのは殻(外皮)だけでそばの実は白い色をしています。甘皮部分は採れたては綺麗な薄緑色なのですが、春先頃から次第に酸化により褐色に変化していきます。しかし、冷蔵等により保存状態が良ければいつまでも薄緑色をキープできます。
出雲そばは殻ごと挽くことが多いので色合いが変化します。
挽いたそば粉は実の白色と甘皮の色とが混ざり合い別の色になります。殻(外皮)部分は篩で取り除かれるのですが、若干は残ります。殻は水回しのときに実の部分と混ざり合うことはないので、黒い斑点模様となります。水を含ませたときに殻、甘皮等の外側の部分から灰汁として色が出てきます。
甘皮が褐色であればあるほど暗灰色(濃い色)に変化します。出雲そばの色を言葉で表現するのはとても難しいものです。日本の伝統色の色として表現すれば灰汁色(あくいろ)に近い色といえるのではないでしょうか。ちなみに蕎麦切色(そばきりいろ)という色の表現がありますが、これは青みがかった薄白色を言います。殻をとってから挽いた江戸前そばの文化圏で決められた色なのでしょう。
殻の混ざり具合、石臼での碾き方、ふるいでの選別が色目や味を決定する要素となります。従って様々なそばが生まれてきます。○○産の玄ソバは味が濃いとか香りが強いとかそば通の会話で良く話されます。しかし、この製粉方法が異なれば一概に評価することはできません。一番色目の変化する甘皮部分の状態や含有量でそばの濃淡が決まります。この甘皮部分が出雲そばの味や香りを決定付ける無くてはならない部分です。ですから色に固執する必要はありません。但し、玄ソバの状態によっては、あまり挽き込み過ぎるとエグミが出てくることがあります。製粉所やそば職人は、玄ソハの状態を見極め、どれだけ挽きこむのかを判断し、通年香りの高い味深いそばが提供できるよう日々研鑽を積んでおられることでしょう。
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同じひきぐるみの出雲そばでもこんなに色合いが異なります。



そばとコーヒー

共通点を考えてみました

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   鬼皮をとったソバ  
  (甘皮が緑色をしている)
コーヒー豆 007
                 コーヒー豆
               (焙煎前は緑色)

こだわればこだわる程、多くの人を魅了し続ける嗜好品として「コーヒー」があります。
私にとっては、「そば」と「コーヒー」どちらも無くてはならないものです。
意外とそば好きはコーヒーも好きという人が多いものです。
何故なら、製粉(焙煎)の過程、茹で方(抽出方法)、嗜好感覚に似通ったところがあるからです。
以下に共通点をまとめてみました。
1.採れたてはどちらも爽やかな薄緑色
2.香りを楽しむ。挽きたては香りが強い。
3.挽きかた(焙煎方法)により品質、味が大きく変わる。
  ブレンドすることにより好みの味、香りバランスをとることができる。
4.甘みが命
5.五感で味わう。
6.採れたてよりも少し寝かせた方が旨みは深くなる。
7.そばは茹で方、コーヒーも入れ方で大きく味が異なる。
8.健康に良い。
脳神経細胞を活性化させ、動脈硬化、脳卒中、肥満症等の生活習慣病予防になる。
消化器系のガン抑制にも効果があるといわれている。
9.毎日の生活にうるおいとゆとりをもたらす。
10.こだわりのウンチクを語る人(一般人からみれば変人扱いされる人)が多い。

良質なコーヒー、そばなら苦味やえぐみはなく健康のためにも毎日味わって欲しいものです。
そばと同様コーヒーにも素材が持つ自然な甘みがあります。
砂糖を入れないで甘みを感じるコーヒーが本物のコーヒーです。
そばを食べ、余韻を楽しんだ後にゆっくりとコーヒーも味わってみてください。

そばやのデザート

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そばは栄養バランスの良い健康食であり、食物繊維の含有量も高いため、若い女性にももっと食べて欲しいものです。食後のデザートに女性の好きな甘い物があれば、そば屋の魅力が増すのかも知れません。そばがきぜんざいやそば茶プリン、そばの実入りのアイスクリームなどが人気です。通常は別メニューとして注文しないといけないのですが、お店の中にはサービスで一品付けている処もあります。
 そばを食べた後、そば湯を飲み余韻に浸り、あとは甘い物(女性は別腹と良く言われます)を食べながら一緒に来た仲間と団欒すれば、和んだ楽しい時間となることでしょう。
しかし、くれぐれも食べ過ぎにはご注意ください。私の知人で、そば好きで甘党の人は概ねお太り気味です。


【 デザートのいろいろ 】

小豆に蕎麦掻きをかけた品がサービスで添えられている。
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定番:そばがきぜんざい
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デザートのセット
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       そばがきぜんざい  そばアイス
       そばクレープ     村時雨

そば茶プリン
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そばアイス そばをクレープ状にして揚げたお菓子付き
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そば湯コーヒー
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インスタントコーヒーをそば湯で溶いただけではあるが、意外といける。

そば定食

そばとご飯の相性は?
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 お昼時、サラリーマン層の通うおそば屋さんでは、そばだけでは腹持ちが悪いからと定食ものを注文されるかたが結構いらっしゃいます。本来、そばは繊維質に富むため消化が早い食べ物とはいえないはずなのですが、水分量が多い(そばの約半分が水分)からか、消化が良い食べ物と認識されています。また、そばでお腹一杯にしようと思うと、そばの単価が高いため定食より高価となってしまう事があります。割子そば5枚注文すると千円を越えることが多いのですが、そば定食にすれば千円以下に抑えることが出来ます。
 かねてから思っていましたが、白飯とそばの相性は良くない気がします。そばを食べながら白飯を食べる行為は、私には無理です。これは、そばも白飯もどちらも同じ穀物で、塩分をほとんど含んでいないためであると推察します。「ラーメン」や「焼きそば」、「かけうどん系」はかなり塩分を含んでいますから、逆にあっさりと白飯が合うのでしょう。
ですから、そば定食についているご飯は、炊き込みご飯か、混ぜご飯、おにぎりが中心です。(これは全くの余談ですが、大阪ではお好み焼き定食なるものがあり、お好み焼きをおかずに白飯を食べる習慣があるようです。食文化の違いからでしょうか?)
季節の山菜、茸を炊き込んだご飯は格別です。また、一品料理を添えているお店や、丼物とのセットとしているお店もあります。そば屋の丼物は旨いと良く言われます。これは、きちんととっただしを用いているからです。
ご飯ものとの意外な組み合わせに、そばと寿司があります。本格的なにぎり寿司と手打ちそばの組み合わせは極稀なお店でないと味わえませんが、山陰の小さなそば屋でもサイドメニューに入れているお店があります。日本料理の代表といえるそばと寿司を同時に味わうなんて、少し贅沢でしょうか。

そば屋でご飯ものをおいているお店は邪道だと言われる人もいます。そばだけを提供し営業されているお店はそばに対する深い思い入れがあり、確かに立派なお店が多いと思います。また、少人数で経営されている繁盛店は、なかなかたくさんのメニューに対応できないことも確かです。しかし、お客のニーズに応じて、柔軟にメニューを儲け、お客を満足させるお店もなくてはならないものです。

かやくご飯とのセットいろいろ
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大山おこわと大山そば
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カツ丼セット &  天丼セット
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かけそばと豆ご飯+自家製がんもどき
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ざるそば+冥加ごはん+揚げだし茄子
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野はぎ弁当
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割子そばと追加メニューにぎり寿司(海老、玉子)
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そばとちらし寿司+豆腐(ふきのとう味噌付き)+その他野菜料理
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そば+にぎり寿司+天ぷら等(伝統ある日本料理の勢ぞろい)
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天ぷらとそば

たまにはちょっと贅沢しても
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日本の食文化の中で「そば」と並んで 「天ぷら」も代表的な料理です。その両方が一度に味わえる「天ぷらそば」はそば屋のメニューの中でもちょっと贅沢な気分が味わえる一品です。
そば屋と天ぷら店の天ぷらの違いは、そば屋の天ぷらの衣が厚い点です。そばだしをたっぷり含ませてだしの旨みと一緒に味わうために衣が厚くなったと思われます。以前は揚げ置きして油のにおいでそばの香りの邪魔をしないようにしていました。硬めに衣を揚げて、出汁で少し煮込んでから器に盛る手法です。最近では油の質が良くなり、そんな気遣いをしないで、揚げたてを出すお店が多くなりました。天ぷらのサクサク感も楽しみの一つです。また、あえてごま油の風味を活かして揚げているお店もあります。油のしつこさを出さずにそばとうまく融合させる工夫、技術が天ぷらそばの難しいところです。
また、「天抜き」といって、天ぷらを熱いそばだしを利用した天つゆで食べるメニュー(天ぷらそばのそば抜き)があります。特にかき揚げは「天抜き」として食べればお酒の肴にとても良い一品となります。また、冷たいそばと天ぷらのセット(「天もり」)も人気があります。
出雲地方のそば屋で天ぷらをいただける処は以外に限定されます。お店が少人数で切り盛りされていて、お昼の繁盛しているときに手間のかかる天ぷらを揚げる対応が難しいからです。つくり置きした天ぷらはやはりお客さんが興醒めすることでしょう。天ぷらそばは、通常、かけそばのように水洗いしたそばを温めて、かけ汁を注ぎ、揚げたての天ぷらを入れるため、最後までそばがしっかりした状態で食べることができます。しっかりしたそばを打っているお店の中には、かけ汁を注いだ丼に直接釜からそばを入れ、天ぷらを盛り付けます。但し、天ぷらそばにはそばのぬめりは似合わない気がします。
 天ぷら種としては、海老が定番ですが、奥出雲地方では舞茸の天ぷら、米子ではイカのかき揚げが有名です。その他、今の季節は山菜の天ぷらを加えている処があります。
 「天ぷらそば」は、そば屋のメニューの中では高価なため、懐に余裕があるときにお勧めします。
ボリューム感があり、そばの出汁をたっぷり含ませたそば屋ならではの天ぷらは、お腹が減っているときには一番のご馳走です。

舞茸の天ぷら
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ボリュームたっぷりの天ぷらそば
野菜+イカ+海老(そばが見えない)2076.jpg

イカのかき揚げ
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割子天ぷら(つゆ付き)とざるそば+天ぷら
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天ぷらとそば
かけそば(天ぷらを好みで入れるか直接食べても良し)
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ざるそば+天ぷら(だしで食べても良し、塩でも良し)
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春の山菜
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出雲おろち大根

辛味大根とそば
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そばの薬味として注目されている「出雲おろち大根」の紹介をします。

出雲おろち大根は宍道湖畔を中心に自生するハマダイコン(通称、野大根)を品種改良した正真正銘の出雲原産の辛味大根です。ヒゲ根の多い形状は出雲神話の「ヤマタノオロチ」を彷彿させ、「オロシ(チ)」て食べると強烈な刺激があることから「出雲おろち大根」と命名されました。島根大学生物資源科学部の小林伸雄准教授が品種改良を進めてこられた辛味大根です。小林准教授は出雲そばりえの会の顧問でもあるそば好きなかたです。
水分が非常に少なくて、おろしてもサラサラしています。その為、ソバつゆが薄まらなくて、薬味にピッタリです。味はその名の通り、劇的に辛い。しかし、ワサビとは違った独特の味と刺激で、古くから通人に大いにもてはやされたという事です。芳醇な大根の香りと甘みがあります。決してそばの香りを邪魔しません。
 日本全国各地でたくさん辛味大根の品種があります。ねずみ大根と呼ばれる小粒な丸い辛味大根が有名ですが、「出雲おろち大根」は放って置くと写真のように大きくなります。
大きくなりすぎると水分が多くなります。適当な大きさに成長したときに収穫するのが良いでしょう。あまり大きく成長しないうちに食べたほうが辛味や甘みが鮮明にでてきて美味しくいただけます。
すりおろした直後より5分程度経ってから、一番辛味が増し、その後時間の経過につれて味も辛味も劣化していきます。
もう、今の季節は終わりに近いので出回っている数は少ないかもしれません。来年の冬も楽しみにしていてください。
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おろしそば(辛味だいこん)のいろいろ
写真では辛さが伝わらないのが残念です。
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私は、大根おろしをやや薄めのだしにたっぷりと入れて混ぜてそばにかける越前そば風の食べ方が気に入っています。
越前そば風 (かつおぶしが大根の辛味を和ませてくれるので強烈なつんとした刺激から逃れられます。)
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玄丹そば

玄丹そばでそば打ち教室が開催されました
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2月15日に玄丹そばを使ったそばうち教室が松江で開かれました。
この教室の企画は、松江市、松江そば組合、JAくにびきなどでつくる「玄丹そば協議会」によるものです。
松江市の特産物となった玄丹そばについて、地元の方々にそばうちから体験していただき、地元の農産物への関心、認識を深め、親しんでもらおうという趣旨です。
このそばうち教室の講師をそばりえ仲間で「まつえそば打ち研究会」の原信幸さんと共に務めました。
玄丹そばの栽培が始まって12年が経ち、現在約110haで栽培され、生産量は約50トンになりました。ソバの栽培は天候に左右されやすく収穫量も安定しませんし、味も年ごとに違いがあります。もともと水を嫌うソバを水田で栽培するという大きな矛盾がありました。しかし、生産者や関係者の努力が実り、「玄丹そば」として商品化されました。
今年の玄丹そばは出始めはやや淡白な味と香りでしたが、今の時期に出回っているそばは艶が出て味の深みもあり、状態が良くなっています。
地産地消でこそ、「出雲そば」と胸を張っていえます。収穫量の関係で、例年春過ぎまでは玄丹そばを松江のそば店で楽しめる筈です。
あるそばうち名人が「田んぼでソバを作ったって、良いソバが出来る訳ないでしょ。」と言われたことが記憶に残っています。是非この名人に見返してもらえるような「玄丹そば」になることを望んでいます。
そばうち教室に参加された方たちには、私の打ったそばを試食してもらいました。ご家庭では、持ち帰った自分たちで打ったそばを食べながら、そばうちの楽しさ、難しさの話題で盛り上がっていることでしょう。

そばうちの指導
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「玄丹そば」
松江市では、減反田を利用してのそば栽培と、幕末に松江藩を救ったといわれる「玄丹お加代」という女傑の名前に引っ掛けて「玄丹そば」と名付けた。
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プロフィール

Author:出雲そばりえの会
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