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捨て犬猫、走る処分場 徳島県・奈良市、迷惑施設代わり(1/2ページ)

2010年2月20日17時44分

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写真:鎮静器に入れられ、じっと動かない犬=徳島県神山町、角野写す鎮静器に入れられ、じっと動かない犬=徳島県神山町、角野写す

写真:犬と猫を中に入れ、トラックの荷台に積み込まれる鎮静器=徳島県神山町、角野写す犬と猫を中に入れ、トラックの荷台に積み込まれる鎮静器=徳島県神山町、角野写す

写真:鎮静器を積んで火葬施設に向かって出発するトラック=徳島県神山町、角野写す鎮静器を積んで火葬施設に向かって出発するトラック=徳島県神山町、角野写す

 徳島県と奈良市が、飼い主に捨てられた犬や猫を、火葬施設まで運ぶトラック内で殺処分している。犬や猫を集める施設での殺処分が住民に受け入れてもらえないために考えついた苦肉の策だという。

 徳島県神山町の山あいにある県動物愛護管理センターには、県内6カ所の保健所から捨て犬や捨て猫が集められる。犬や猫は鎮静器(ちんせいき)と呼ばれる金属製の箱(縦横1.2メートル、奥行き1.5メートル)に入れられ、8トントラックの荷台で運ばれる。運転席のボタンを押すと、鎮静器内に二酸化炭素が充満する仕組みだ。センターを出て約1時間後、県西部の火葬施設に着く頃、犬や猫は動かなくなっている。

 こうした処分を始めたのは、センターができた2003年。同県板野町にあった施設が手狭で老朽化したため、県が神山町に施設を建てる際、住民と「センターで動物を殺さない。焼却しない」という約束になったからだという。県は処分装置のメーカーと相談し、「走っているトラックの中なら処分場所を決めずにすむ」と移動式装置を取り入れることにした。この方法で年間5千〜1万匹を処分している。

 センター設立当時の担当者は「各保健所の真ん中に位置し、広い土地が確保できたのは神山だけ。住民感情に配慮するために考え抜いた結論だった」と明かす。センター職員の獣医師は「処分なんてしたくない。できるなら収容した動物をすべて飼って、生かしてやりたい。でも、施設や金の問題で、そんなことはできないでしょう」と話す。

 奈良市の場合、02年に人口が30万人を超える中核市になり、野良犬や野良猫の管理を自前でしなければならなくなった。しばらくは従来通り奈良県に委託していたが、08年4月に県が同県宇陀市に動物愛護センターを新設した際、地元住民が施設受け入れの条件として「処分の数を最小限にして」と要望。県に委託できなくなった奈良市は徳島の例を参考に08年11月に移動式の処分装置1台(4500万円)を導入した。

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