113 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 03:28:48 ID:oGsfp2+u 映画のパンフ見たらボートの婦人は大正時代の人とか書いてあってぶったまげた。 現代人と大正の人を意図的に同じ空間に存在させていることになる。 時空が歪んでるのは異空間によくあることだよな。 浦島太郎だって境界を越えたから時間が狂っちゃったんだし。 ということはだ。 だからその・・・ またこういう事書くと怖がる人がいそうだが・・・ いろんな人が指摘してるしいいか。 あのシーン、「あの世」確定。 114 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 03:41:17 ID:oGsfp2+u トキの話の前に赤ちゃんのシーン話させてな。 宮崎監督はNHKSPで赤ちゃんとポニョのやりとりを 「ポニョが人に何かをあげた、一つ大人になる重要なシーン」と位置づけていた。 ここからは俺の拡大解釈だ。 民俗学に、「贈与」という概念がある。 人に何かを贈ることがコミュニケーションのおおもとなんだという考えだ。多分。 詳しいことはすっ飛ばして、ここでの「贈り物」は、ご飯をあげたりすることはもちろん、 挨拶をすること、笑いかけることなど、他人にアクションを起こすことすべてを意味している。 「相手にとってよくないこと」も贈与にカウントされる。 何かを奪うことも「その人に向けて動いた」から贈与になる。 問題のシーン。 まず、ポニョが赤ちゃんに最初にあげるスープは元の世界に戻る足がかりだと思う。 食べ物は本人が飲み込むことが重要だが、赤ちゃんはそれが出来なかった。 116 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 03:54:15 ID:oGsfp2+u サンドイッチも同様。 (婦人はもう完全に向こう側の人間なのでちょっと食べたくらいじゃ戻れないのでは。) ポニョと赤ちゃんが何を話し合ったかはしらんが、ポニョがおでこをぐりぐりくっつけたのは、 赤ちゃんから元の世界に戻る資格を奪って、代わりに完全にあちら側の人間になる資格を あげるためだったんじゃないかと考えている。 水の上を「三途の川の上」、 本当の天上を「山の上ホテル」とすると、 元の世界にチャネルを残したままの赤ちゃんが一緒にいる限り、 あの夫婦はずっと水の上にいることになる。 ポニョが赤ちゃんにとどめを刺したことで、あの家族は晴れて天上で幸せに暮らせるのではないか。 117 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 04:08:55 ID:oGsfp2+u で、トキさんとの抱擁シーンだ。 NHK見てた人にはわかると思うけど、宮崎監督はあのシーンを描くときになんかすんげぇ悩んでいた。 今までの映画ではあれだけストレートに愛だの美しいだの結婚しようだの叫んでいた人がだ。 抱きつくだけならドーラの時みたいにあっさり抱擁していると思う。 宮崎監督が迷っていたのは、向こうの世界に母を連れて行くかどうか、だったんじゃないだろうか。 119 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 04:17:48 ID:oGsfp2+u 宗介は最初、母(リサ/トキ)を向こう側に連れて行きたくないと 考えていたような気がする。 老人ホームで折り紙をあげるシーンでは、 他の二人には「ポニョ」をあげて、トキにだけ「船」だったし。 船の意味はわからないけど、ポニョじゃないってだけでも充分でしょ。 121 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 04:22:52 ID:oGsfp2+u リサとの別れのシーンでも必死にこっち側に引き留めてたし。 でも、宮崎監督は、頭かきむしって歩き回って、 悩んで悩んで・・・ バケツから、ポニョを飛び出させてしまった。 宗介が抱きついたトキは、既に向こう側の住人になってしまっているトキだ。 凄まじいシーンだと思った。 122 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 04:26:59 ID:oGsfp2+u >>120 船はチンコってより父親のモチーフだろ常考。 乗ってるろうそくは父親の命な。 ポニョが人に贈り物をして大人になったときに、 宗介は父の死に立ち会って大人になっている。 123 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 04:35:29 ID:oGsfp2+u 「父の死」っていうとあれか。 またちょっと行き過ぎか。 耕一が小金井丸と一緒に境界を越えたのは、 グラン母が通り過ぎた瞬間だと思う。 そのあと、止まっていたエンジンが「黒い煙を吐き出して」動き出す。 125 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 04:57:40 ID:oGsfp2+u ポニョと宗介が乗っている船のろうそくが消える瞬間も、「黒い煙が吹き出す」。 ろうそくが消えるときにはあんな風に煙が出ることはないだろう。 あの瞬間、何かが耕一の船とリンクしているからなのだと思う。 ろうそくが消えたあと、宗介はろうそくの力(父の力)を借りて進むことが出来なくなる。 しかも、陸に近づくにつれ、船が小さくなってしまう。 一緒に、双眼鏡と帽子も小さくなって使えなくなるのは、 父の庇護からの脱却、ひとりの大人になったって事なんだと思うんだ。 そうして一個人になったポニョと宗介の前に、トンネルが試練として出てくるんだよなぁああぁ。 なんか眠すぎて酔っぱらいがクダ巻いてるみたいになってきたんでそろそろやめます。 こんな長いチラ裏に付き合ってくれてありがとうございました。 最後に一言。 この映画、なんにも知らない子供の頃に見たかった・・・・・・。 128 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 06:21:13 ID:z6S5zN+y 自分も映画見て、涙が何回か出た箇所あったよ。 やっぱり子供がそのままの感動で生きてる場面が描かれて良かった。 ポニョが物を食べて嬉しい顔したり。 ポニョと男の子が抱き合ったり。 そういう動作が当たり前のように描かれてて自分の思い出と重なってすごい良かった。 あとは、海の水しぶきが魚のように描かれてたり、そういう随所の世界観がすごいなーと感心した。 ポニョが人間になれたように、人間が人間らしくなるためにはそれなりに順序があって、 今の自分たち大人は子供のために何かを教えなくてはいけないんだろうけど、 その教えることを今の自分たち大人すらも前の大人から教わってきていないんだよね。 そういうことをずっと考えながら見てたら涙がいっぱい出てきてた。 そして一番嫌だったのは、普段生活しててこんなに感動しないのに、 こういう作り物の物語で生きることの意味を教えられてる自分が本当に嫌だった。 本当は普通の生活からこういう仕草のひとつひとつを大切に思わなきゃいけないのに。 今の自分のように幻想の世界に使っている人間社会が本当に嫌だと思う。 だから、すらっと読み流して新しいことを受け入れる映画だと思う。 何度も検証して生きる見本を探すような見方は好きじゃない。 この映画の物語と同じように素晴らしい世界の生活をしているのが今の自分たちなんだから! それくらい言われなくても分かってるよ。 129 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 06:47:57 ID:Lv8bAqjd 千と千尋で最高点に到達して ハウル…ソフィの声でアレして ゲド戦記でトドメ? 宮崎駿は終わったって思いながら付き合いで観に行ったから ポニョはインパクトが強かったな ポニョを観た後では今までのジブリ作品全てが薄っぺらく見える 人物造形的にもイメージ的にも ポニョのせいで全てが薄っぽく安っぽく見える 『崖の上のポニョ』は次元が違う 自分の旧作をゴミにしたのは宮崎駿本人でした!と言う事実で 「宮崎駿」ってのはアニメの枠に収まらない唯一無二の「ジャンル」だと証明した形になったな 130 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 07:42:21 ID:Lv8bAqjd 全部読んだけどなるほどなあ 宮崎駿母がリサとトキに分裂してて 宮崎駿が宗介とポニョに分裂してるって解釈があるのか 1:1対応で考えてたからその発想はなかったわ 俺はあんまり宮崎駿マニアじゃないから思い出せないけど 言われてみればリサの系譜ってモンスリーから始まって最新作ポニョまで ずっと出演し続けてる気がする 今までの作品できっちり名脇役を務めていたリサ型キャラが ポニョでは空回りして最後にあきらめたような受諾を見せるのは マザコン駿の母親への決別を象徴してるのかもしれない 132 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 09:45:27 ID:acO7LmEV 全部読んだけど このスレおもしれぇぇ 考察説得力有るね 136 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 13:49:49 ID:jfo7HSzu ポニョポニョソングにつられて、子ども向けか…なんつ-て 軽い気持ちで観に行ったらとんでもない目にあいますた 144 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 18:20:50 ID:acO7LmEV 普通にかわいい感じの映画なのに「何か怖かった」って意見が続出したってのがまた怖いな。 上記の考察を読めば納得できるが・・・ 146 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 20:09:55 ID:jUPhj2j+ >oGsfp2+u 考察おもしろかったよ もっと読みたいからもっと続き書いて 147 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 20:58:34 ID:oGsfp2+u >>146 ありがとう。 他の褒めてくれた人もありがとう。 ブーイングの嵐を想定してたんですげえうれしい。 調子に乗ってちょっと書いてきます。 148 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 21:07:31 ID:EMO35uwa 自分も続き読みたい。面白かった。 境界を越えた「向こうの世界」の話はよく分かるんだけど、 >>125 > そうして一個人になったポニョと宗介の前に、 >トンネルが試練として出てくるんだよなぁああぁ。 ここからの意味をどう読み解いたのか、聞いてみたい。 149 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 21:09:29 ID:EMO35uwa あと、境界を越えて「向こう側」に連れていった。これはおk。 その後、宗介が問いかけに3回答えることで、ポニョの魔法が 解けた後の世界。最後のシーンは、どういう世界なの? 最後は「元の世界」とはいえない、けど「あの世」でもない、 そこからもう一度生まれ直した世界かなと自分は思ったんだけど。 150 :147:2008/08/09(土) 21:18:00 ID:oGsfp2+u >>147です。 オマイラというやつは・・・ いいのかい、ホイホイ褒めちまって。 俺は聞きかじったことだって大げさに言っちまうような人間なんだぜ? 本スレでちょっと言い始めたことがあったんでそっから始めさせていただきます。 なんか舞い上がってきた・・・水飲んでくる。 151 :147:2008/08/09(土) 21:19:36 ID:oGsfp2+u 本スレでちょっと書いたのをまずコピペ。 556 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 20:56:45 ID:oGsfp2+u 宮崎監督が目指すのは神話なんじゃないか、という話の続きを 空気読まずに続けます。 俺の考えの基になっているのは、 神話学とか民俗学とか。あ、一夜漬けね。中2病だから。 そこでは、神話っつうのはギリシャ神話みたいなのだけじゃなくて、 作者不詳のまま伝わっているおはなし全部を指します。 グリム童話とか日本昔話とか、都市伝説なんかもアリ。 作者不詳ってのがちょっとポイント。 566 :497:2008/08/09(土) 21:07:02 ID:oGsfp2+u ここで頭いい人の言葉を引用。ちょっと長いけど。 _____ ふつうの物語なら、なにか言いたいことがあるわけだ。 話し手の言いたいことがわかれば、それで解決。めでたしめでたし、となる。 つまり、メッセージとして解読すればいい。 ところが、神話の場合、誰が言い出したともわからない昔から、伝承されてきた話だから、 「話し手の言いたいこと」なんてあるのかどうか、はっきりしない。 だから、メッセージとして解読しようとすると、おかしなことになる。 何が言いたい話なのかさっぱり読みとれず、荒唐無稽という印象になる。 そこで、解読をあきらめてしまうか、 例によって「未開人はこれだから困る、彼らは支離滅裂にしか思考できないのだ」 と結論してしまうか、そのあたりが関の山だった。 「はじめての構造主義 (橋爪大三郎 講談社現代新書)」 ____ 「未開人」って言葉を「宮崎駿」って入れ替えてみてほしい。 ・・・どう思う? 153 :497:2008/08/09(土) 21:34:46 ID:oGsfp2+u 荒唐無稽 支離滅裂。 メッセージに一貫性がない。 まんまアンチ宮崎の発言だ。 逆に言えば、信者の曇った目で見ていない分、真実に近いはずだ。 154 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 21:36:38 ID:g3eWigil 神話としては通俗的すぎるのが辛いですなあ。 155 :497:2008/08/09(土) 21:39:27 ID:oGsfp2+u >>154 いいこと言った! 神話って通俗的なんだよ。 人気がなきゃ廃れちゃうから、 語り継がれていくうちにどんどん通俗的になる。 156 :497:2008/08/09(土) 21:45:26 ID:oGsfp2+u 語り継がれていくうちに、 物語自体はどんどん下世話になっていく。 ・おとことおんながいました。 ・けっこんしました。 ・なんかやなやつがしにました。 みたいな。 そこに、本当に伝えたい「人間の知恵」として織り込まれるのが、数々のモチーフたちだ。